研究成果
第76回 α-シクロデキストリン摂取によるコレステロール低減効果機構の解明③
本研究成果は、2014年9月12日(金)第31回シクロデキストリンシンポジウム(9/11~12、島根県民会館(島根)にて開催)において発表しました。
背景
当社ではシクロデキストリン(CD)の包接機能を利用して、機能性成分の水溶性、安定性、バイオアベイラビリティなどを向上させる技術を有しております。それらの成果は化粧品、食品等の様々な分野で広く利用されています。α-CDは水に良く溶け、体内の消化酵素で分解されないことから、水溶性食物繊維として摂取することができます。当社の検討からもα-CD摂取による抗メタボリックシンドローム効果や整腸作用、抗アレルギー作用が示されています(※詳しくは、当社ホームページの最新研究成果「第16回、第42回、第44回および第50回」を参照して下さい)。
今回は、α-CD摂取による血中コレステロール改善効果の機構について新たな知見が得られたので報告します。
ヒトで確認されているα-CDの機能性
- 抗メタボリックシンドローム
中性脂肪, コレステロール低減効果
血糖値上昇抑制効果 - 整腸作用
- 抗アレルギー効果
アトピー性皮膚炎, アレルギー性鼻炎, 気管支喘息
第44回最新研究成果
α-CDは、人工腸液の混合ミセルからレシチンを析出させることで、人工腸液におけるコレステロールの溶解性を低減させることがわかりました。
我々は、この現象がα-CD摂取による血中コレステロール低減効果における機構の一端であると考え、更なる検討を続けています。
本検討
人工腸液中でのコレステロールの溶解性において、α-CDとそれ以外の水溶性食物繊維を比較しました。
使用した水溶性食物繊維および脂質降下薬
- 難消化デキストリン(RM)
- グァーガム酵素分解物(PHGG)
- イヌリン(Inu)
- ポリデキストロース(PDX)
- コレスチラミン(CSA:脂質降下薬)
試験方法
結果
α-CD存在下、人工腸液中のコレステロール濃度の低減が観測され、その効果は他の食物繊維では殆どみられませんでした。
まとめ
本検討から、α-CDによるコレステロールの腸液への溶解を抑制する効果は、他の水溶性食物繊維では殆ど見られないα-CDに特徴的な効果であることがわかりました。