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その2. 不飽和脂肪酸

一般に、動物性油脂に多く含まれる飽和脂肪酸は、体に悪く、悪玉と呼ばれ、植物性油脂や魚油などに多く含まれる不飽和脂肪酸は、体に良い善玉と思われていますが、前回、飽和脂肪酸のすべてが必ずしも悪玉ではなく、ココナッツオイルに多く含有する中鎖の飽和脂肪酸はダイエット、美容、脳機能改善など、体に良い善玉の油もあることを説明しました。同様に、今回は不飽和脂肪酸についても、善玉だけでなく悪玉もあること、その種類と健康への影響について解説していきます。

まず、不飽和脂肪酸は、図に示していますように一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けることができます(図1.)。

図1. 脂肪酸の種類

図1. 脂肪酸の種類

一価不飽和脂肪酸の代表的な物質にはオレイン酸があります。オレイン酸はオリーブオイルの脂肪酸の70~80%を占めており、冠状動脈性心疾患への有効性など健康増進効果が知られていて注目されています。この一価とは炭素鎖の中に二重結合が一つあることを意味していますが、二重結合にはシス体とトランス体の二つの異性体(幾何異性体といいます。)があります。

オレイン酸はシス体で善玉脂肪酸なのですが、同じ炭素数(C18:炭素が18個)でもトランス体はエライジン酸と呼ばれ、トランス脂肪酸、あるいはトランス酸の名で知られる悪玉脂肪酸なのです。このトランス脂肪酸はマーガリンやショートニングの加工油脂や反芻動物の脂肪中に多く含まれていて、米国では“狂った油”と呼ばれるほど、摂取し続けると、長鎖飽和脂肪酸よりもLDLコレステロールや中性脂肪の増加傾向が大きく、HDLコレステロールが低下することで動脈硬化のリスクが高まります。

ここで興味深い知見を紹介しておきます。トランス脂肪酸を摂取してしまう恐れのあるときには新食物繊維として知られるαシクロデキストリン(αCD)を同時に摂取しましょう。αCDは、善玉のオレイン酸を体の中に積極的に取り入れ、一方で悪玉のトランス脂肪酸であるエライジン酸を体外に排泄してくれるのです。図2.に示しておりますように、腸液中のトランス脂肪酸の溶解度が、αCDの添加によって下がっています。この溶解度の低下は、トランス脂肪酸が溶けなくなって析出することを意味しており、結果、吸収されずに生体外へ排泄されてしまうのです。

図2. 腸液中αCDによるトランス脂肪酸の溶解度の低下

図2. 腸液中αCDによるトランス脂肪酸の溶解度の低下

多価不飽和脂肪酸の中で二重結合を二つ持つ二価不飽和脂肪酸で健康増進作用が注目されているのが共役リノール酸(CLA)です。CLAの摂取でもオレイン酸と同様、体重や体脂肪重量の減少や血漿中の総コレステロールやLDLコレステロールの減少が報告されています。

不飽和脂肪酸(PUFA)は、二重結合の位置によってオメガ(ω)6系PUFAとω3系PUFAに分類されます。そして、リノール酸やアラキドン酸などのω6系PUFAやEPA、DHAなどのω3系PUFAは生体内ではロイコトリエン、トロンボキサン(TX)、プロスタサイクリン(PGI)といった生体機能維持に不可欠な生理活性物質に変換されていますので、いずれのPUFAも必須脂肪酸なのです。

しかし、ω6系PUFAは、TXA2/PGI2の上昇による血栓形成により動脈硬化症リスクの増加に寄与するという指摘があり、その点では悪玉脂肪酸でもあります。よって、「第6次改定日本人の栄養所要量」において推奨PUFA比はω6系:ω3系 = 4:1 としていましたが、最近では2:1に変更されていて、現代人にとってはEPA、DHAなどのω3系PUFAの摂取が必要のようです。

図3. オメガ6系の古代と現代の見方

図3. オメガ6系の古代と現代の見方

以上、脂肪酸の種類による健康への影響をまとめましたが、理解しづらい部分も多々あったと思います。しかし、次回からは健康増進効果の期待されている個々の脂肪酸について紹介していきますので、興味をお持ちの方には分かりやすい内容になるはずですのでご期待ください。

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