生活習慣の認知症リスク(3)アルコール摂取量と糖尿病
このシリーズでは、生活習慣病の中でも年々患者数が増加し、問題視されている糖尿病が認知症リスクも高めることに着目しています。そして、現代では認知症も増加の一途を辿っており、生活習慣病の1つと捉えるべきであろうとしています。そして、今回から、その生活習慣の1つである食事習慣を見直していきます。
先ずは、アルコール摂取量について…飲む人にとってポジティブな結果??…
兵庫医科大学の下村智子先生のグループの研究(Association between Alcohol Consumption and Glycemic Status in Middle-Aged Women, Tomoko Shimomura, Ichiro Wakabayashi, Can. J. Diabetes (2015))を引用させてもらいました。
結論から言うと…日本人の中年女性は飲酒習慣、つまり、お酒を飲むことで糖尿病リスクは低減するようです。
健康診断を受けた35歳から60歳までの日本人女性1万8,352人を対象とし、飲酒しない群、時々飲む群、毎日軽く飲む群(エタノール量にして日に22g以下)、毎日大量に飲む群(エタノール量にして日に22g以上)の4群に分けて、アルコール消費量と糖尿病の指標となるHbA1c値の関連を調べています。
HbA1c値は、飲酒しない群に比べて、時々飲む群、毎日軽く飲む群、毎日大量に飲む群で有意に低いことが分りました。(図2)つまり、お酒は飲むほど、HbA1cは低いことが分ったようです…ん?? では、お酒は飲めば飲むほど糖尿病にならないのでしょうか?
では、次に、BMIとの関係です。対象の肥満状態を示すBMIを3分位(3グループに均等に分ける)すると第一3分位がBMI10.53~20.57、第二3分位がBMI20.57~23.24、そして、肥満気味あるいは肥満を意味する第三3分位がBMI23.24~55.57に分かれます。
飲酒しない群に比べ、肥満状態に関係なく、アルコールの摂取は血糖値と逆相関を示しています。(図3)ただ、肥満気味あるいは肥満を意味する第三3分位の方々の場合、毎日軽く飲む群を毎日大量に飲む群を上回っていますので、肥満の気になる方々は大量にお酒を飲むことはお勧めできない結果となっています。
やはり、お酒は程ほどの方が良さそうです。