ヒトケミカルで健康的なエイジング、K-エイジング(3)線維芽細胞の活性化でコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸産生による美肌作用と軟骨再生作用
このシリーズでは、三大ヒトケミカル(CoQ10、R-αリポ酸、L-カルニチン)を摂取して、ヒトを構成している60兆個にもおよぶ様々な細胞すべてに存在するミトコンドリアを良質に維持すると、健康的なエイジング(K-エイジング)できる根拠となる論文や学術情報を紹介しています。
受精卵という細胞1個から分裂・分化を46回繰り返すとヒトを構成する60~70兆個の様々な細胞となります。その細胞1つ1つが活性を保つためには、細胞あたり数百から数千個存在するミトコンドリアが良質である必要があります。
良質のミトコンドリアを維持するためには、エネルギー産生と抗酸化作用の両面から三大ヒトケミカルが必要ですが、20歳を境にそれらの生体内生産量は減少することが分っています。その生産量の減少に伴い、生体内の様々な種類の細胞も減少、あるいは、活性を失っていくことになります。そして、各種細胞の減少によって生体機能は維持できなくなり、老化現象が現われます。(2)では、“病を逃れる”ための免疫細胞であるナチュラルキラーNK細胞を取りあげました。(3)では、いつまでも若くハリのある肌を保つために必要な線維芽細胞を取りあげます。
シワやたるみのない肌を保つためには、各種線維を生産できる良質な線維芽細胞が必要です。線維芽細胞は真皮の幹細胞から細胞分裂と分化を繰り返して作られます。そして、その線維芽細胞ではコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質線維やヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンという糖質の線維が生産されています。
CoQ10などの三大ヒトケミカルの体内生産量は年齢に伴って減少しますが、その生産量の減少はエネルギー代謝能力の減退を意味し、その結果、真皮内の単位面積あたりの線維芽細胞数も年齢とともに減少していきます。
そして、良質な線維芽細胞数の減少と線維生産能力の低下に伴い、真皮内のコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質線維も減少していきます。
コラーゲンやエラスチンは紫外線や活性酸素によってダメージを受けると弾力を失い、肌のハリもなくなるのですが、線維芽細胞に新しくコラーゲンやエラスチンを作り出すエネルギーがあれば問題ありません。しかし、ヒトケミカルの減少に伴って線維芽細胞が活性を失っていくわけです。
さらに、肌の保湿力を保つことの知られているプロテオグリカンという糖質の線維であるヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸の生産量も減少していきます。
一方、三大ヒトケミカルをサプリメントとして摂取するとミトコンドリアにおけるエネルギー代謝能が復活し(良質のミトコンドリアとなり)、線維芽細胞は活性化されます。その結果、コラーゲンやエラスチンの生産量は増加し、三大ヒトケミカルが最も体内で生産されていた20歳代の水準となります。
実際に、肌弾力性が低い10名の女性(平均年齢47歳)を被験者に、吸収性を高めたCoQ10包接体のサプリメントを6週間摂取してもらいました。摂取前の10名の被験者の肌弾力性は、50代女性の平均よりも低くて67.8%でしたが、6週間摂取後、肌弾力性は見事に復活し、20代平均とほぼ同等の85.9%まで上昇しました。ヒトケミカルの1つであるCoQ10によって線維細胞が活性化され、肌弾力性を保つための真皮内コラーゲンとエラスチンの十分な量が生産されたためと考えられます。サンプル写真は弾力性の戻った32歳の女性ですが、弾力性だけでなく、保湿性も高まっていることがわかっていただけると思います。
尚、ヒトケミカル摂取による線維芽細胞の活性化による効果は、美肌作用だけではありません。コラーゲン等の線維は、骨、軟骨、血管、各種臓器等、様々な部位にとっても重要です。たとえば、ヒトケミカルであるCoQ10とともに、軟骨成分であるコラーゲンやコンドロイチン硫酸などの原料であるコラーゲンペプチドやグルコサミンを同時に摂取した場合の膝関節痛低減効果の検証を行いました。
表1. ヒトケミカルによる膝関節痛軽減効果の検証
成分名 | 摂取量/1日 (mg) |
---|---|
フィッシュコラーゲンペプチド | 810 |
グルコサミン | 352.8 |
CoQ10-γ-CD包接体 (CoQ10) |
72 (14.4) |
市販サプリメント「NANO Support スムースUP」
(株式会社コサナ)
被験者16名
項目 | 全体 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
人数(人) | 16 | 5 | 11 |
平均年齢(歳) | 53.6 | 58.6 | 51.4 |
評価方法
サプリメントを12週間摂取してもらい膝関節痛のアンケート調査を行うとともに医師の所見・評価を得た。
その結果、膝の痛みの程度は、有意に値は低下し、膝関節痛の改善が認められました。(Dunnettの検定による統計解析)痛みの原因の磨り減ってしまっていた軟骨がヒトケミカルによって再生したためと考えられます。