コエンザイムQ10による口腔ケア|株式会社シクロケムバイオ
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コエンザイムQ10による口腔ケア

そもそも、ヒトはどこで老いを感じているでしょうか?ほとんどの人に共通しているのは目と口です。目は40歳を境にして「老眼」を感じ始めます。次に感じるのが口で歯周病、口臭、味覚障害、ドライマウスなどで老化を自覚するのです。言い換えれば、目と口の若さを保つことができれば、身体全体の若さを保つことにつながるのです。

その口の若さを保つためのコエンザイムQ10(CoQ10)によるドライマウス対策について、ここでは他に『冬場の乾燥とドライマウス』と『唾液分泌量を改善するCoQ10』というタイトルで紹介しています。

ドライマウスの原因は複合的で、加齢だけではなく、ストレス、生活習慣病、喫煙などのさまざまな環境要因があります。しかし、最近になって、唾液腺の劣化、つまり「錆び」の関与が明らかとなってきています。そして、この唾液腺の「錆び」を取り除く方法としてCoQ10の摂取が有効なのです。

唾液は唾液腺から口腔内に分泌される分泌液のことですが、その唾液腺は腺房細胞と導管細胞によって構成されています。唾液は腺房細胞でまず作られ(原唾液といいます)、導管細胞を通り、他の成分が加えられ、口腔内に分泌されています。

CoQ10は、このような唾液をだす細胞におけるミトコンドリアでのエネルギー産生による細胞活性化によって唾液生産を促し、抗酸化作用の働きで唾液腺の「錆び」も取り除くことができるのです。

ドライマウスの原因に糖尿病があり、歯周病がドライマウスに起因する病態(糖尿病⇒ドライマウス⇒歯周病)という見方と、その一方で、学術的にドライマウスが歯周病と糖尿病の原因(ドライマウス⇒歯周病・糖尿病)との見方もあるのです。少し詳しく説明します。

歯周病は口腔で年齢とともに発症する代表的な病気です。30歳以上の成人の約80%が歯周病に罹っており、歯の喪失原因の第1位です。歯周病とは、歯と歯ぐき(歯肉)のすきまに侵入した歯周病菌が、歯肉に炎症を引き起こし、さらには歯を支える骨を溶かしてグラグラにさせてしまう病気です。歯周病は痛みなどの自覚症状がほとんどないため放っておきがちですが、歯周病の慢性的な炎症が糖尿病を悪化させることが知られています。そして、唾液の分泌が慢性的に低下するドライマウスはこの歯周病を引き起こす大きな原因となっています。つまり、ドライマウスによって歯周病が引き起こされ、その歯周病が悪化すると、糖尿病も悪化するという【ドライマウス】→【歯周病】→【糖尿病】といった関係も明らかとなっています。

鶴見大学のRyoらのグループの研究報告があります。この報告は2011年にClinical Biochemistryという学術雑誌に『Effects of coenzyme Q10 on salivary secretion(唾液分泌におけるコエンザイムQ10の効果)』というタイトルで発表されたものです。

ドライマウスは唾液分泌の減少に関連した症状ですが、加齢とも関連があるとされています。そこで、この研究では、ドライマウス患者(31名)と健常者(33名)を対象に、プラセボ群(24名)とCoQ10摂取群(42名)に分け、1ヶ月間の還元型CoQ10(ユビキノール)と酸化型CoQ10(ユビキノン)を100mg/日投与による唾液分泌量と唾液中CoQ10量への影響を検討しています。図1のグループ分けと唾液分泌量をみていただくと明らかなようにドライマウス患者の唾液分泌量は平均0.7g/2minと健常者に比べて随分と少ないことが分かります。

図1. グループ分けとそれぞれの平均年齢と唾液分泌量
図1. グループ分けとそれぞれの平均年齢と唾液分泌量

先ず、ドライマウス患者に対する唾液流量と唾液中CoQ10量の変化を図2に示しました。ユビキノール摂取群、ユビキノン摂取群の何れの場合でも唾液流量が有意に改善し、唾液中のCoQ10量も有意に増加していました。ところが、健常者に対するCoQ10摂取の影響を確認したところ、興味深いことに、図3に示していますように、還元型CoQ10であるユビキノール摂取では唾液流量に変化がなく、ユビキノンの場合にのみ有意に唾液流量は増加することが判明しています。

図2. ドライマウス患者の唾液分泌量と唾液中CoQ10の変化
図2. ドライマウス患者の唾液分泌量と唾液中CoQ10の変化
図3. 健常者の唾液分泌量と唾液中CoQ10の変化
図3. 健常者の唾液分泌量と唾液中CoQ10の変化

このように経口摂取したCoQ10は、唾液腺の細胞において減少したATPの産生を向上させ、エネルギー代謝を活発にし、酸化ストレスによって損傷した唾液腺における抗酸化能を発揮することによって、唾液分泌機能を改善すると考えられます。

CoQ10がドライマウス対策に有効であることは、同じシェーグレン症候群であるドライアイにも有効なのか?との疑問が生じるかたもいるかと思います。シェーグレン症候群とは涙や唾液を作りだしている涙腺、唾液腺などの外分泌腺に慢性的に炎症が生じ、涙や唾液の分泌が低下、乾燥症状を呈する自己免疫性疾患で『ドライアイ』や『ドライマウス』があります。ドライマウスは日本で潜在患者3,000万人いますが『ドライアイ』も800~2,200万人の患者がいるのです。目がごろごろする、目が疲れやすい、まぶしく感じるなどの症状があり、ひどくなると角膜に傷がついて乾燥性角結膜炎や、表層性角膜びらんなどが起こります。CoQ10はこのドライアイにも有効であることが知られていますので、またの機会に紹介します。

米国歯科協会によると、米国人のおよそ87%が歯周病を患っていると報告されています。そして、歯周病の患者の歯茎組織の60%~96%がCoQ10の不足を示した研究があり、歯周病の原因にCoQ10量が関係していると考えられています。

図4. CoQ10と歯周病の関係(米国歯科協会調べ)
図4. CoQ10と歯周病の関係(米国歯科協会調べ)

CoQ10の細胞・組織の強化は歯茎を丈夫にすることにつながり、歯周病の治癒の際に必要な大量のエネルギー生産にもCoQ10が必要なのです。

さら、1993年のMcreeらの報告(J. T. Mcree et al., Journal of Dental Health 43, 659 (1993).)では、歯周病患者の炎症歯肉ではCoQ10が欠乏していて、CoQ10を投与することで臨床症状が改善することが明かとなっています。11名の歯周病患者にCoQ10(100mg/日)を2か月間経口投与したところ、歯肉炎指数と歯周ポケットの深さ、深さ4㎜以上の歯周ポケット数が顕著に減少することが明かとなっています。

図5. コエンザイムQ10投与による歯周病患者の歯肉炎指数の減少
図5. コエンザイムQ10投与による歯周病患者の歯肉炎指数の減少
図6. コエンザイムQ10投与による歯周病患者の歯周ポケットの深さの減少
図6. コエンザイムQ10投与による歯周病患者の歯周ポケットの深さの減少
図7. コエンザイムQ10投与による歯周病患者の深さ4mm以上の歯周ポケット数の減少
図7. コエンザイムQ10投与による歯周病患者の深さ4mm以上の歯周ポケット数の減少

一旦、歯周病になると、虫歯で歯を失うと同様に完治は難しくなるのですが、このように症状をCoQ10で改善することは出来るようです。この結果の裏付けとなるようなCoQ10の歯周細胞増殖効果を検討した例があります。

日本歯科大学附属病院に来院した全身疾患を有さない矯正治療中の患者の同意のもとに健常歯に付着している歯肉よりヒト歯肉線維芽細胞(HGF)を分離・培養し、CoQ10の添加群と非添加群に分けて、細胞増殖促進をみたところ、CoQ10添加群のHGFは細胞質に膨らみを帯びた菱形の割合が多く観られるようになりました。CoQ10はHGFの細胞増殖活性および呼吸代謝を促進させ、細胞形態を変化させることがわかりました。このようにCoQ10は歯周病によって損傷した歯肉組織の修復を促す可能性があります。

以上、CoQ10のドライマウス対策と歯周病症状改善効果について紹介しました。

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