マヌカαオリゴパウダー(5)抗炎症作用|株式会社シクロケムバイオ
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マヌカαオリゴパウダー(5)抗炎症作用

マヌカαオリゴパウダーのシリーズ第5弾です。(1)では、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌、ヘリコバクター・ピロリ菌に対するマヌカαオリゴパウダーのすばらしい抗菌作用、(2)では、女性の更年期障害のモデルマウスを用いたマヌカαオリゴパウダーによるに健康増進作用である骨粗鬆症予防効果と抗メタボ効果、そして、(3)では、マヌカαオリゴパウダーによる腸内環境を左右する善玉菌と悪玉菌の増減による腸内環境改善作用、(4)では美容効果を紹介しました。

今回はマヌカαオリゴパウダーの抗炎症作用について紹介します。

でもその前に、炎症についての基礎知識を簡単にわかりやすく説明しておきます…

ピロリ菌感染を例とってみましょう。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると炎症が起こります。感染が続くと、胃粘膜の感染部位は広がり、やがて胃粘膜全体に広がり、慢性胃炎となります。この胃炎は、その後、胃潰瘍、胃がんと進行していく大変な炎症です。

このようなピロリ菌などの細菌やウイルス(異物)が体内に侵入しようとした際、炎症性サイトカインという物質が大量に生産され、これらの異物を取り除くために働きます。しかし、この炎症性サイトカインという物質が炎症を引き起こすというわけです。

炎症性サイトカインのなかでも代表的な物質がTNF-α(腫瘍壊死因子)です。文字通り、腫瘍を攻撃する物質ですので、私たちの体にとっては重要な物質です。

関節リウマチ患者の関節を調べるとTNF-αが炎症の原因物質として通常より増えています。TNF-αは関節の痛みや腫れの原因だけではなく、他の炎症性サイトカインも作り、さらにリウマチを悪化させる作用もあるのです。そこで、TNF-αの産生を抑制できれば炎症も治まることになるわけです。

と、炎症とその原因物質のお話でした…

マヌカハニーには抗炎症効果があります。そして、その抗炎症効果には、マヌカハニーにMGOとともに特別に含まれているシリング酸メチルという抗酸化物質が関与しているのではないかと考えられています。

マヌカハニーには図1で示すように、アカシア蜂蜜などの一般の蜂蜜には含まれていない抗酸化物質のシリング酸メチルが含まれています。

図1. シリング酸メチルはマヌカハニーの特異的成分
図1. シリング酸メチルはマヌカハニーの特異的成分

そのため、抗酸化活性の指標となるラジカル消去活性もアカシア蜂蜜に比べ、高いことがDPPHラジカル消去活性評価法を用いて明かとなっています。(図2と図3)

図2. ハチミツのラジカル消去活性の比較
図2. ハチミツのラジカル消去活性の比較
図3. ハチミツのDPPHラジカル消去活性の比較
図3. ハチミツのDPPHラジカル消去活性の比較

そこで、シリング酸メチルを含むマヌカハニーとマヌカαオリゴパウダーの抗炎症作用を調べるために、炎症性サイトカインの代表であるTNF-αを産生抑制について検討しています。

図4に示すように、活性化中好性白血球(24時間37℃で培養)においてMGO400マヌカハニーにもTNF-αの抑制作用は観られますが、マヌカαオリゴパウダーには、さらに、効果的なTNF-αの産生抑制作用のあることが判明しました。

図4. マヌカαオリゴパウダーのTNF-α産生抑制作用
図4. マヌカαオリゴパウダーのTNF-α産生抑制作用

尚、TNF-αには骨吸収促進作用(骨を壊す作用)のあることが知られていますので、このTNF-α産生抑制作用もこのシリーズでお話しています骨粗鬆症予防効果の理由の1つと思われます。

マヌカαオリゴパウダーでTNF-αの産生抑制作用が向上した理由として、シリング酸メチルのバイオアベイラビリティ(生体利用能)がα-シクロデキストリンによる包接によって向上したものと考えられます。