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森下 矢須之さん『糖とシクロデキストリンのおいしい関係』

森下 矢須之さん
森下 矢須之さん
BIZEN(備前)中南米美術館理事長
寺尾 啓二
寺尾 啓二
弊社代表取締役

血糖値を上がりづらくする天然シロップ

寺尾 ・森下:よろしくお願いします。

寺尾:森下さんは「BIZEN中南米美術館」の館長をされていらしゃいます。「中南米美術館」では、どのようなものが展示してあるのですか。

森下:中南米の考古学美術品が主なものです。みなさんに中南米の文化に触れていただく場をご提供できればと考えております。でも、こうした専門美術館というと敷居が高い、一部の人しか興味を持っていただけない、そういうイメージがありませんか?

寺尾:どちらかと言うと、そうですね。

森下:そこで、来館者の方に古代美術品である貴重なオカリナの演奏をお聞かせしたり、古代のチョコレートを実際に飲んでいただいたりして、少しでも中南米に興味をもってもらえるような「好奇心をくすぐる」活動をしています。

寺尾:「オカリナ」に「チョコ」、こうしたものは古くから伝わってきたのですね。

森下:最近では、マゲイシロップというメキシコに自生するリュウゼツランの一種を日本に紹介しています。今日、お土産に持ってきたんですが……。

寺尾:ありがとうございます。高級なハチミツのような感じですね。

森下:おいしいですよ、くせもなくて。しかも、近年の研究からマゲイシロップを食べると、血糖値が極めて上がりにくいということがわかってきているのです。

寺尾:シクロデキストリンも、糖尿病の予防効果があります。ただし、シクロデキストリン自体は食物繊維だから、無味無臭なのです。ですから食物繊維のタブレットを開発するさいに、味付けの目的で羅漢果やステビアなど、植物由来の甘味料と組み合わせることを検討してきています。

森下:身体にいいものは、おいしく味わいたいですからね。

寺尾:血糖値が上がりづらく、しかもおいしいという天然のシロップは、まさにそのことを体現していますね。

森下:是非、味見してみてください。

「糖を取らなければ脂肪はつかない」は間違い?

森下:最近はよく糖類をとることがいけないという言われ方がされてますが、ダイエットのために単純に糖をカットするというのはいかがでしょうか?

寺尾:その発想自体は間違いだと思います。食物は、糖質である炭水化物とたんぱく質、そして脂質などから出来ています。食事をする際に脂肪を増やしてしまうのは、糖と一緒に脂質を過剰にとってしまうからなのです。

森下:むしろ、脂質に注意するということですか。

寺尾:そうです。体内でエネルギーとして使われる栄養素には順番があって、まず糖が使われる。その後、糖が足りている間、一緒に摂取した脂質は貯蔵されてしまうのです。だから、どちらかというと糖とともに脂肪分が多いものをとることに問題があるのです。どうもそれが誤解されているようです。

森下:そうですよね。

寺尾:人の身体は全体の6~7割程度が水で、残りは脂質とたんぱく質、そして糖質で、糖質はそのうち0.1%しかありません。

森下:糖質は非常に少ないのですね。

寺尾:歳をとると内臓脂肪が増えるのは、実は脂質の問題が大きいのです。まず、年齢とともにたんぱく質の量が減ってきて、脂質が増えます。たんぱく質は筋肉なので、筋肉量が減ってきて、エネルギーに変えられなくなり、その分が脂肪として蓄えられるという悪循環の構図になるのです。

森下:脂質とたんぱく質の負の連鎖と言うわけですか。

寺尾:ちなみに、糖質は体内に入ってきても全部使われます。もちろん、常に体内に貯蔵しておかなければいけませんから、貯蔵システムはきちっと成り立ってはいます。その貯蔵物質がグリコーゲンなんですね。でも、グリコーゲンは体内に0.1%の割合しか占めていません。結局は、全部使われるわけですし、糖分自体は悪くないのです。そこに余分に脂質をとることが悪いわけです。

森下:なるほど。やはり、ダイエットというと糖分を減らすことばかり気にしてしまいますが、脂質に注意することが大切なのですね。

糖を大切に

寺尾:先ほどお話しした通り、糖質と脂質を一緒にとると脂質が貯蔵されてしまいます。そう考えると、脂質の過剰貯蔵を避けるための原理は簡単ですよね。糖質とたんぱく質を一緒にとればいいのです。

森下:得たエネルギーを筋肉につける方向にもっていくわけですね。

寺尾:今一番注目されているのがBCAAという分岐アミノ酸です。これは、筋肉の疲労回復をしてくれるエネルギー源になります。だから、激しい運動をした後に、BCAAを飲むと一番効果的です。最近はいろいろなメーカーがスポーツ飲料として出していますから、簡単にBCAAは摂取できますよ。

森下:それはいいですね。

寺尾:糖質をとらないというのは日常生活にも支障をきたします。たとえば、朝食を抜く方がいますが、そうすると、早いうちに糖分の量が足りなくなってしまうわけです。体のわずか0.1%しか貯蔵されていないグリコーゲンが使われていくことになります。特に学生さんが、徹夜で試験勉強をして、朝飯抜きで学校に行くという話を聞きます。実際、本番では、ほとんど頭は働かず、苦労が水の泡ということになってしまいます。

森下:朝、チョコレート1枚だけ食べるだけでも違いますか?

寺尾:そうですね、それだけでも食べないのとは、全然違うと思います。

森下:わかりました。ありがとうございました。

寺尾:こちらこそありがとうございました。

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