基礎編
シクロデキストリン(環状オリゴ糖)ってなに?
シクロデキストリンの働き
α、β、γの世界的な安全評価
α、β、γ、それぞれの大量生産が可能に
一般的な4つの包接方法
α-CDには、さらなる効果が…
米国で脚光を浴びるダイエット効果
日本でもダイエット効果が評判に
アレルギー疾患の改善にもすぐれた効果
血糖値上昇抑制効果
飽和脂肪酸の選択排泄効果
γ-CDにもこんな効果が…
コエンザイムQ10の弱点を克服するγ-CD
CoQ10包接体(包接化CoQ10)の様々な効果
応用編
注目のCD用途分野
食品・化粧品分野への応用
化粧品分野への応用
生活用品用途編
医農薬用途編
環境用途編
化学修飾・化学反応編
ナノ超分子編
シクロデキストリンを使った商品例
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの論文・資料リスト
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの書籍リスト
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの学会発表論文と招待講演リスト
寺尾啓二・株式会社シクロケムバイオの特許リスト
2010年シクロケムの成果
2011年シクロケムの成果
2012年シクロケムの成果
2013年シクロケムの成果
2014年シクロケムの成果
2015年シクロケムの成果
2016年シクロケムの成果

シクロデキストリンとは?:応用編

シクロデキストリンの最新技術がまとめられた「シクロデキストリンの応用技術」(シーエムシー出版、監修:寺尾啓二、小宮山真、2008年2月発行)より抜粋

注目のCD用途分野

家庭用品、化粧品

CD需要量(約1万トン/2006年)の約半分が家庭用品に利用されているが、その最も使用量の大きいユーザーは米国プロクター&ギャンブル(P&G)である。洗濯乾燥機に使用する芳香シート「バウンス」にはβCDが、そして消臭スプレーの「ファブリーズ」と衣類用柔軟剤「レノア」には水溶性化学修飾CDであるヒドロキシプロピル化βCDメチル化βCDが使用され、欧米や日本を中心に販売されている。
また、仏国ロレアル社から発売されたシャンプー「エルセーブ」にはβCDが用いられ、使用後の髪に真珠のような輝きが出るとして欧米で人気となり広く使われ始め、最近日本でも販売されている。

[シクロデキストリンを使用した消費者向け製品例]

会社名 商品名 用途
Procter & Gamble Febreze
Bounce
Lenor
消臭芳香剤
洗濯乾燥機用芳香シート
衣料用柔軟剤
Pierre Fabre Demo Cosmetique Klorane ドライシャンプー
コサナ Free sol 抗菌消臭靴中敷
コサナ ナノラジアンスQ&A 保湿化粧クリーム
ユニチャーム 超立体 マスク
東レ 夢衣夢中 美容パック
Beierdorf Nivea Visage Q 10,
Eucerin
化粧クリーム
Elizabeth Arden Lizabeth Arden 口紅
Loreal Elseve 高級シャンプー
医薬品

医薬分野でCDを用いる主な目的は、薬理活性物質の水への溶解度改善、安定化、生体利用率改善である。ほとんどの場合、βCDあるいはβCD化学修飾体が使用されている。その理由は、これまでβCDが最も安価で経済的に入手しやすいものであったためである。βCDの難水溶性は医薬製剤化にとって一つの問題点であったが、注射剤にも適用できる数種類の高水溶性βCD化学修飾体が開発され、解決された。
現在、世界的に見ると、CD含有医薬製剤は30製品前後とみられる。その内、錠剤型がほとんであり、注射型は少ない。しかし、最近になってファイザーやヤンセンファーマなどの医薬メーカーは、ヒドロキシプロピル化βCDやスルフォブチル化CDを用いて注射剤を開発し上市した。
また、点眼剤にαCDが使用されたり、薬理活性物質のマスキング(苦味低減)等にもαCDが応用され始めている。

[シクロデキストリンを使用した医薬製剤例]

会社名 商品名 CD 活性物質 剤型
Pfizer Vfend IV Sulfobutyl-βCD Voriconazole 静脈注剤
Pfizer Geodon Sulfobutyl-βCD Ziprasidone 筋注剤
Janssen Sporanox HP-βCD Itaconazole 経口、静脈注剤
Novartis Voltaren HP-γCD Diclofenac 点眼剤
Novartis Opalmon γCD OP-1206 錠剤
小野薬品 Opalmon γCD OP-1206 錠剤
小野薬品 Prostandin αCD PGE1 輸液
小野薬品 Prostavasin αCD PGE1 動脈注剤
小野薬品 Prostarmon E βCD PGE2 舌下錠
Scwarz Edex αCD PGE1 海綿体注剤
武田薬品 Pansporin αCD Cefotiam HCL 錠剤
明治製菓 Meiact βCD Cephalosparin 錠剤
UCB Zyrtec βCD Cetrizine 錠剤
食品・飲料

食品分野において、日本では2007年にα、β及びγCDの全てが食品添加物として認められた(食品添加物公定書 第8版)。使用目的としては、食品香料、色素、ビタミン類など揮発性物質や、熱や光、酸素に不安定な物質の保護安定化である。
αCDは水溶性で難消化性であることから、食物繊維としてメタボ素材等にも用いられている。昨今、通常の難消化性デキストリンには見られない抗アレルギー効果(ヒト)や、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール(LDL)の元となる飽和脂肪酸を選択的に吸着し排泄(マウス)する効果が確認され、大変注目を集めている。
βCDはコレステロール含有率の高い卵黄やバターなどに添加し、不溶性の包接体を形成させて除去し低コレステロール加工食品の製造に用いられている。
日本では、1970年代後半から既にCDはキャンディー、ガム、スープに使用されてきたが、最近ではさらに製パンやケーキ、粉末食品、菓子類、インスタント茶、インスタントコーヒーなどにも広範囲に利用されるようになってきている。

飲料向けでは、カテキンやイソフラボンなど有効成分の苦味渋味を低減する目的でCDが使用されている。CD含有飲料には花王の「ヘルシア」、伊藤園の「カテキン緑茶」の特保製品(特定保健用食品)の他、ハウスの「ウコンの力」、日本コカ・コーラの「大豆のススメ」などがある。
近年、市場を大きく伸ばしているのが、機能性食品やサプリメントへの応用である。100年に1つの逸材と言われているコエンザイムQ10や、αリポ酸、アスタキサンチンなどといった生理活性物質のCD包接体が市場で注目されている。いずれもγCDによる包接体で、小腸で生理活性物質が放出し吸収された後に、空になったγCDはゆるやかに消化酵素によって消化され、小腸内に吸収される。

[主な機能性食品素材のシクロデキストリン包接体]

機能性食品素材 CDによって改善できる特性
コエンザイムQ10 生物学的利用能、安定性
α-リポ酸 生物学的利用能、味覚、安定性、溶解度
アスタキサンチン 生物学的利用能、安定性、分散性
クルクミン 分散性、安定性
DHA 酸化安定性、無臭化、粉末化
シクロデキストリンとは?:応用編 12345678 (全8ページ)