- Q1.シクロデキストリン(CD)って、「サイクロデキストリン」とか「環状オリゴ糖」と同じですか?
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A1.学名で「cyclodextrin」と書き、広くは「シクロデキストリン」と呼ばれていますが、米語読みで「サイクロデキストリン」と呼ばれたりもします。 また、飲料や食品のラベル表示(成分)に、よく「環状オリゴ糖」という文字を見かけますが、これも「シクロデキストリン(環状=シクロ、オリゴ糖=デキストリン)」と同様です。
- Q2.シクロデキストリンは1種類ですか?
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A2.シクロデキストリン(CD)は数多くあります。工業的に生産されているCDは3種類です。ブドウ糖が6個環状になったα(アルファ)-シクロデキストリン、同7個のβ(ベータ)-シクロデキストリン、同8個のγ(ガンマ)-シクロデキストリンです。よって、例えば表示成分に「シクロデキストリン」とか「環状オリゴ糖」と書かれている場合には、3種類のいずれかを指しています。厳密には、α、β、γを区別してα-シクロデキストリンとか、γ環状オリゴ糖と表示していただく方が差別化できて良いと思います。この他にも、用途に合わせて化学修飾したシクロデキストリンがあります。
- Q3.3種類のシクロデキストリンは、それぞれ性質(物性)はどう違うのでしょうか?
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A3.α-シクロデキストリンは水溶性、難消化性。β-シクロデキストリンは難水溶性、難消化性。γ-シクロデキストリンは水溶性、消化性と、ブドウ糖の数が1個違うだけで、それぞれ物性が異なります。共通の特長としては、バケツ構造の内側が新油性(油になじむ性質)、外側が親水性(水になじむ性質)です。相反する性質を有することで、用途、目的により使い分けができ、アイデア次第で無限の可能性があります。
- Q4.3種類のシクロデキストリンについて、それぞれの安全性について教えてください。
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A4.α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンともに天然に存在するということで、日本では摂取上限値(ADI)のない食品添加物となっています。しかし、世界ではβ-シクロデキストリンのみADIが決められています。
世界で最も権威ある、WHO(世界保健機構)とFAO(国連食糧農業機関)が組織したJECFA(世界食品添加物合同専門家会議)において、β-シクロデキストリンはADIが5mg/kg/日で、α-シクロデキストリンとγ-シクロデキストリンはADIを特定する必要のない安全な物質として判断しています。
EU(欧州連合)では、β-シクロデキストリンの場合、このJECFAに準じて食品に対して0.1%を上限値としています。
- Q5.シクロデキストリンの価格について教えてください。
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A5.2000年、独ワッカー社がアメリカ・アイオア州の工場で、α、β、γ-シクロデキストリンを個別大量生産できるようになってから、特にαとγは劇的なコストダウンが可能となりました。それまでは、α-シクロデキストリンは5万円~10万円/kg、γ-シクロデキストリンは100万円以上/kgと、とても工業的に使えるレベルではありませんでした。しかし、現在では高純度のα-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンが10~100分の1の価格で供給できるようになりました。今後、用途が広がり、需要量が増えれば、さらにコストダウンが可能となり、β-シクロデキストリンと同レベルの価格になるでしょう。
用途、ご使用量により、価格が変わりますので、詳しくは
お問い合わせください。
- Q6.シクロデキストリンは、実際私たちの生活の中で、どんな製品に使われていますか?
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A6.皆さんがよくCM等でもご存知の特保カテキン茶で有名な花王「ヘルシア緑茶」、「ヘルシアウォーター」、伊藤園の「カテキン緑茶」や、P&Gの「ファブリーズ」が代表的ですが、「ウコンの力」、「ユンケルQ10ゼリー」、グリコ「ブレオ グリーンアップル12粒」、「小岩井 ミルクリッチティー」、「リプトン リモーネ」、「練りわさび」の他、薬やサプリメントにも広く使われています。
- Q7.シクロデキストリンの原料は何ですか? 遺伝子組み換えの問題は?
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A7.トウモロコシが原料です。ワッカー社は世界で一番トウモロコシが安いアメリカ・アイオワ州(エディブル)で、カーギルという世界一の穀物会社が持っているデンプン工場からトウモロコシデンプンを購入し、酵素反応により各種シクロデキストリンを製造しています。
現在、世界で製造されている全てのトウモロコシデンプンが、遺伝子組み換えかどうかについては分別が不可能となっています。そこで、ワッカー社はシクロデキトリンの原料となるトウモロコシが遺伝子組み換え有る無しに関わらず、製品には一切の遺伝子(DNA)が存在しないことを保証しております。
ところで、厚生労働省ではデンプンの2次製品(シクロデキストリンを含む)については、パッケージ、ラベル等への表示は不要としています。
- Q8.シクロデキストリンは、アレルギーの問題はありませんか?
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A8.シクロデキストリンの製造に当たり、一切のアレルギー物質は介在しておりませんので、安心してご利用いただけます。
- Q9.ワッカー社のシクロデキストリンは、何か地球環境に配慮されておりますか?
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A9.シクロデキストリンは実は生産収率が約50%で、残渣は廃棄しなければなりません。
通常はこの残渣を廃棄するために、生産コスト以上の費用がかかってしまいます。
ところが、ワッカー社の場合には画期的なシステムがあります。
それは、カーギル社がこの残渣を買い戻し、バイオエタノールにし、それをアイオワ州政府が買い上げてガソリンに配合する政策を取っています。つまり、ガソリンにバイオエタノールを混ぜることでSOx、NOx等の有害物質を削減しています。地球環境に配慮しながら、安価に製造が可能な秘密がここにあります。
- Q10.メタボリックシンドローム対策に、効果のあるシクロデキストリンはありますか?
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A10.α-シクロデキストリンは摂取すると、体内の消化酵素(アミラーゼ)により全く消化、吸収されない食物繊維(難消化性デキストリン)の性質を持ちます。シクロケムでは、このα-シクロデキストリンによる「血糖値上昇抑制、中性脂肪低減、コレステロール値低減、ダイエット効果、抗アレルギー効果、便秘解消」など、第3者機関によりこれらのヒトでの効果を確認しております。
さらに、昨今α-シクロデキストリンには、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす悪玉コレステロール(LDL)の元となる「動物性の脂(飽和脂肪酸)」を選択的に吸着して排泄することが分かっています。一方、体に良いとされる「植物性の油(不飽和脂肪酸)」は吸着しないため、排泄されずきちんと体に吸収されます(化学構造的なメカニズムより)。
なお、動物性脂肪を吸着せずに、小腸を通過(消化されない)して大腸に来ると、α-シクロデキストリンは腸内細菌により発酵分解を受け、弱酸性の短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)ができるため、悪玉菌が減り善玉菌が増えます。また善玉菌のエサにもなります。よって、腸内環境は非常に良い方向に改善されます。
以上より、α-シクロデキストリンはメタボリックシンドローム対策に関しても、従来の食物繊維(難消化性デキストリン)+αの効果が期待できる、特長ある素材です。
- Q11.シクロデキストリンが食品の嫌な臭いや苦味の成分などに対して効果を発揮するというのは本当ですか?
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A11.本当です。
シクロデキストリンの効果のひとつに「マスキング」があります。嫌な臭い、苦味成分なども包接(内側に取り込むこと)し、臭みや苦味を感じさせないようにします。
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- Q12.シクロデキストリンを使った消臭効果の事例はありますか?
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A12.ございます。画期的な例が、(株)コサナの「フリーゾルインソール」という商品です。
あらかじめ心地よい香りを包接したシクロデキストリンが、足裏の汗に反応してその香りを徐放(放出)し、その後、その汗の匂いを取り込むという、2つの役割を果たします。
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- Q13.シクロデキストリンを使うことで、不安定な物質が安定した状態になりますか?
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A13.紫外線や熱などに弱い物質や、酸化、加水分解されやすい不安定な物質などを包接することで安定化させることができます。つまり、シクロデキストリンが 紫外線や熱、酸化、加水分解などから有効成分を守ることで、変質を防ぎ、保存性を高めることができます。
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