母の介護そして株式会社コサナ・ケイジング・ライフ創業
高齢化社会の“化”が外れて高齢社会となった現在、高齢者の皆さんが自立して幸せな生活を続けるためのプロジェクトを私は考え始めました。まずは運動と栄養素の組み合わせ……、運動はさらに有酸素運動(ノルディックウォーキング)と無酸素運動(パワーリハビリとフィットネス)の組み合わせ……、栄養素はさらにヒトケミカル(CoQ10、R-αリポ酸、L-カルニチン)とりんごの皮に含まれるウルソール酸を組み合わせ……、高齢者の自立した健康的な生活のために……といろいろとできることが浮かぶのです。
こうして高齢者の健康的な生活について考えるのも、母の、2016年4月末から8月1日までの、3ヶ月間のグループホームでの生活をみてからのことです。ホームでの生活が母の認知症の進行にあまりよい結果をもたらさないようなので、私は家族で母の介護ができないか考えました。そこで弟と私は二人で母の世話を交代ですることに決め、私は月の半分を岡山で母と一緒に過ごすようになりました。
1月21日は父親の命日(祥月命日)です。2017年のその日私は岡山で母と一緒にスーパーマーケットにお供え物を買いに行きました。母は車イスなので父のお墓に直接は行けませんが、近くまで車で行き、私がお墓参りをしてきました。
私の父親は20歳代に無一文で会社を設立しました。父親の他界後に弟がその会社を継いで安定的な会社にしたという背景の下で、私は銀行から融資を受けることができて会社(シクロケム)を興しました。
父親は小さな会社であっても知的障害のある若者など、障害者を受け入れ、地域の社会福祉をいつも考える人物でした。ただ、会社の規模でできることは限られていました。
2017年父親の亡くなった歳に到達した私は、株式会社コサナ・ケイジング・ライフという会社を設立しました。運動と栄養を組み合わせた健康指導による介護予防のための会社です。この会社でどこまで福祉事業が可能かどうか分りませんが、私としては父親の思いとともにコサナ・ケイジング・ライフを頑張ってみたいと思っています。(ケイジングは健康的なエイジングを意味します。)
シクロデキストリン(CD)はデンプンから作られる天然の環状オリゴ糖です。シクロケムバイオが開発したCD応用技術は様々な分野で利用されています。シクロケムバイオは、その中でも特に機能性食品分野と地球環境分野においての応用研究に注力しています。日本は少子高齢化のため世界で最初に超高齢化社会から超高齢社会に突入しました。この超高齢社会では介護を受けなければならない高齢者が、年々急増しています。そこで、機能性食品分野においては、ヒトの健康増進効果のあるサプリメントや飲料などのCD製品を開発しており、介護を受ける必要のない高齢者を増やすために必要な“ヒトケミカル”という栄養素を世の中に認知させていきたいです。また、地球環境分野においても、発展途上の国々による大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の問題が大きく取り上げられていますが、これまでに成しえなかった簡便で効率の良いCDを利用した大気浄化法、土壌改善法、水質改善法がシクロケムバイオによって開発されていることを世の中に認知させていきたいと考えています。
大学で化学を専攻し、企業において化学分野での研究に興味のある若者へのメッセージとして聞いてほしいです。若手研究者は安定な大手企業への就職を希望する人がますます増えているように思います。しかし、私の経験からも、大手企業では自分のアイディアを取り入れた研究を行える可能性は低いと思っています。一方、シクロケムバイオのような、研究中心の中小企業であり、そして、幅広い応用分野で利用できるCDのような物質を取り扱える研究環境であれば、自分のアイディアを取り入れた研究開発が行えます。生きてきた証を残すためにも、こういった環境で自分の力を試してみてください。シクロケムバイオの研究者は14名で、博士号取得者は8名います。博士号がなくても、自分が取得したいと思えば、シクロケムバイオの場合、社会人博士号取得の協力があります。