シクロデキストリンが生んだあの製品
がんばれ、メレンゲの泡!くちどけチョコの秘密
- 商品名
- 焼きチョコ(メレンゲ菓子)
- 会社名
- 江崎グリコ株式会社
- カプセル
- 環状オリゴ糖
- その中身
- 油性原料(カカオバター・カカオマスほか)
定番「くちどけチョコ」
口に入れるとフワ~っと消えるようなチョコレート。今ではすっかり定番化し、さまざまなメーカーから新商品が次々と出されるようになりました。江崎グリコの『焼チョコ』はその先駆け的存在。チョコレートのまったりしたイメージを覆しました。じつは、それを縁の下で支えたのも環状オリゴ糖だったのです。
メレンゲ菓子の泡の秘密
ここまで読んで、「それならメレンゲにチョコレートを入れて焼けばいいではないか」と思う人もいるでしょう。しかし、実際はそう簡単にいきません。
じつはメレンゲ菓子とチョコレートは相性が悪いのです。チョコレートに含まれるカカオバターやカカオマスには泡を消そうとする性質があるからです。ココナッツパウダーや粉末アーモンドなどの油性原料でも同様です。これらをメレンゲの原料に混ぜて生地を作ると、いくら泡立ててもあのきめ細かな気泡はできません。もちろんそれを焼いても、『焼チョコ』の革命的な食感は得られません。
油性原料を閉じ込める環状オリゴ糖
環状オリゴ糖を生地にまぜて焼くと、カカオバターやカカオマス、その他の油性原料を包接して分散(乳化)させます。すると、油性原料が消泡力を発揮できず、メレンゲのきめ細かな泡がつぶれないのです。こうして環状オリゴ糖が、メレンゲとチョコレートの仲をとりもち、独特の食感が生まれたのです。
引用:『世界でいちばんちいさなカプセル』より