ジオスゲニン
ジオスゲニン包接体
ジオスゲニンは、山芋に含まれるストロイドサポニンの一種です。
ジオスゲニンには、加齢に伴って低下する認知機能を維持する効果(RBANS※合計スコア、意味流暢性)*1、抗アルツハイマー病効果*2、運動機能改善効果*3、更年期の肌質改善効果*4といった様々な健康効果が報告されており、健康・美容補助食品として利用されています。
RBANS(Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status):即時記憶や遅延記憶、 視空間・構成、言語、注意の5つの認知領域を評価する検査方法。
また、ジオスゲニンは抗酸化作用による男性の性機能(精子の質)の改善に有効であること*5や、Erectile Dysfunction(ED)の治療薬であるバイアグラと同様のPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害活性を持つことが報告されており*6、ED改善も期待されます。
ジオスゲニン包接体は、環状オリゴ糖(γオリゴ糖)を用いてジオスゲニンを包接※※した製品です。包接体にすることでジオスゲニンの吸収性改善が期待できます。
環状オリゴ糖の空洞に有効成分が取り込まれることを包接、環状オリゴ糖に有効成分が取り込まれたものを包接体と言います。
- 認知機能を維持する効果(RBANS合計スコア、意味流暢性)
(機能性表示 8mg/日*1) - 抗アルツハイマー病効果*2
- 運動機能を改善する効果*3
- 更年期の肌質改善効果*4
- 男性の性機能(精子の質、ED)の改善効果*5、6
- 吸収性改善
*1:Chihiro Tohda et al., Nutrients, 9, 1160(2017)
*2:X Yang et al., Mol Psychiatry, 28(6), 2398-2411(2023)
*3:Naoki Horii et al., J. Clin. Biochem. Nutr., 67, 3, 338-343(2020)
*4:(株)カネボウ化粧品, 特開2007-16013(2007)
*5:Z. Khosravi et al., Int Immunopharmacol, 70, 37-46(2019)
*6:C.T. Chen et al., Nutrients, 7(6), 4938-4954(2015)
原料の詳細情報
ジオスゲニンは、山芋に存在するステロイド系サポゲニンで、生薬である山薬の有効成分の一つです。
山芋は古くから滋養強壮作用を持つ食品として伝承されており、その機能性成分であるジオスゲニンは運動機能を向上させることが知られています。また、ジオスゲニンを摂取することで、性ホルモンであるエストロゲンの産生量が高まることが知られており、更年期障害改善作用が期待されています。その他にも、ジオスゲニンはアルツハイマー病の神経細胞に見られる異常を改善し、認知機能を改善することが知られています。
ジオスゲニンの効果についての研究情報
ジオスゲニン摂取による筋肉量・筋力向上効果
ジオスゲニンを摂取することで、DHEAと呼ばれるアスリートの体組成や運動パフォーマンスに関連する重要なホルモンの量が増加することがしられています。このことから、ジオスゲニン摂取により運動機能が向上することが期待できます。
筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動と、ジオスゲニンを含有する山芋抽出物摂取の併用効果についての検証が行われ、2020年に論文発表されています*3。この研究では、陸上短距離アスリート15名を、山芋抽出物を含むタブレットを摂取するグループ(ジオスゲニンとして約20mg/日摂取)と摂取しないグループに分けて、8週間のレジスタンス運動と併用したときの効果を調べています。その結果、山芋抽出物を摂取しないグループと比較して、山芋抽出物(ジオスゲニン)を摂取したグループで血中のDHEA量の増加量が高く、さらに腕の筋肉量に相当する除脂肪重量の増加量や、デッドリフト使用時の運動パフォーマンスが向上することが明らかとなりました。
*3:Naoki Horii et al., J. Clin. Biochem. Nutr., 67, 3, 338-343(2020)
ジオスゲニン摂取による認知機能向上効果
ジオスゲニンは神経細胞の損傷を予防・回復させることから、ジオスゲニンを摂取することで認知機能の向上が期待できます。ジオスゲニン摂取による健常人の認知機能への効果についての検証が行われ、2017年に論文発表されています*1。この研究では、1日あたりジオスゲニンとして8mgを含む山芋抽出物を、20~81歳の28名の健常人に対して12週間摂取させ、認知機能を評価するための日本語版神経心理検査(RBANS)を実施しました。具体的には、山芋抽出物を含む試験食と山芋抽出物を含まない試験食を準備し、どちらかの試験食を12週間摂取後、6週間の間隔を開け、もう一方の試験食を12週間摂取するという、二重盲検のクロスオーバー試験を行いました。その結果、ジオスゲニンを摂取しない場合と比較して、ジオスゲニンを摂取した場合に12週間でのRBANSスコアの増加量が有意に高い値を示し、認知機能を向上させることが明らかとなりました。(RBANSは、認知機能を評価するためのテストです。アルツハイマー病や精神神経疾患などの早期発見や経過観察、および治療効果の判定に用いられています。)
*1:Chihiro Tohda et al., Nutrients, 9, 1160(2017)
ジオスゲニン摂取による更年期の肌質改善効果
ジオスゲニンを摂取することで、性ホルモンであるエストロゲンの産生量が高まることが知られており、更年期障害改善作用が期待されています。更年期を迎えた女性の身体はエストロゲンの分泌量が減少し、体内環境の劇的な変化に悩まされる人が多くみられます。皮膚においては、表皮層が薄くなり、シワの形成が増加するなどの問題が発生します。ジオスゲニン摂取による更年期およびそれ以降の女性の肌質への効果についての評価が行われ、2007年に特許が公開されています*4。この評価では、45~60歳代の女性20名ずつのグループについて、ジオスゲニンを含む山芋抽出物を5%配合したドリンクを1ヶ月間飲むグループ(毎日3回、100mL/回、食事時に飲用)と飲まないグループにそれぞれ設定し、試験前後の肌質を比較したアンケートをとりました。その結果、山芋抽出物を配合したドリンクを飲用した場合に、多くの人が肌質の改善を実感したことが分かりました。
*4:(株)カネボウ化粧品, 特開2007-16013(2007)
包接体によるジオスゲニンの吸収性向上
近年、ジオスゲニンを機能性食品素材として含む様々な製品が開発されていますが、ジオスゲニンは非常に水に溶けにくく、摂取した後の吸収性の低さが課題となっています。γオリゴ糖は水に溶けにくい成分の吸収性を向上させることが知られております*7。ジオスゲニンについてもγオリゴ糖を用いることで吸収性が向上することがラットでの試験から明らかにされています*8。下図のようにジオスゲニン原末を摂取させた場合と比較して、ジオスゲニン-γオリゴ糖を摂取させた場合でより高い血中ジオスゲニン濃度が示されました。
*7:Yukiko Uekaji, et al., Bio-Nanotechnology: A Revolution in Food, Biomedical and Health Sciences. U. K., Wiley & Sons, 179(2013)
*8:大川原正喜, 城西大学大学院薬学研究科博士論文, 乙第63号(2014)