苦丁茶(ウルソール酸)、苦丁茶包接体
ウルソール酸はトリテルペン酸の一種で、筋力増強作用、抗メタボリックシンドローム効果、コラーゲンを再構築させる作用などを持つことが知られています。ウルソール酸は、リンゴの果皮やバジルの葉などの他に、苦丁茶にも含まれています。
苦丁茶は、中国南部などで飲用されている健康茶で、ウルソール酸などの様々な機能性のトリテルペン類を含んでいます。しかし、特有の強烈な苦味をもつため、苦丁茶をそのまま飲用することは困難です。
苦丁茶包接体は、環状オリゴ糖(γオリゴ糖)を用いて苦丁茶に含まれるウルソール酸を包接※した製品です。包接体にすることでウルソール酸の吸収性改善や苦丁茶の苦味低減が期待できます。
環状オリゴ糖の空洞に有効成分が取り込まれることを包接、環状オリゴ糖に有効成分が取り込まれたものを包接体と言います。
- 美肌効果
- 筋力増強効果
- 抗メタボリックシンドローム効果
- γオリゴ糖によるウルソール酸の吸収性改善
- γオリゴ糖による苦丁茶の苦味低減
原料の詳細情報
苦丁茶はモチノキ科の植物から作られるお茶で、中国南部などで飲用されています。苦丁茶の葉には機能性トリテルペンであるウルソール酸が含まれており、ウルソール酸の効果としては筋力増強効果、抗メタボリックシンドローム効果、コラーゲン再構築による美肌効果などが報告されています。以上のことから、苦丁茶は健康を増進する飲料として注目を集めていますが、特有の強烈な苦味をもつため、苦丁茶をそのまま飲用することは困難です。
苦丁茶(ウルソール酸)の効果についての研究情報
ウルソール酸摂取による筋力増強効果
運動は、筋肉になるための予備軍であるサテライト細胞注1が筋肉へと変化(分化)するのを促します。筋肉への分化において、ウルソール酸も運動と同様の効果を持つことが知られており、ウルソール酸摂取による筋力増強効果が期待できます。
筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動と、ウルソールの併用効果についての検証が行われ、2014年に論文発表されています*1。この研究では、健康な男性16名を、ウルソール酸を摂取するグループ(ウルソール酸として450mg/日、3回に分けて毎食後摂取)と摂取しないグループに分けて、8週間のレジスタンス運動と併用したときの効果を調べています。その結果、ウルソール酸を摂取しない場合と比較して、ウルソール酸を摂取した場合に筋力(膝を伸ばす力=膝伸展力と、膝を曲げる力=膝屈曲力)注2が有意に増強されることが分かりました。
*1:H. S. Bang et al., Korean J. Physiol Pharmacol., 18, 441 (2014)
注1:サテライト細胞は、筋肉を構成する筋線維の周囲に存在する細胞です。サテライト細胞は、通常は眠った状態で存在しています。運動をすることでサテライト細胞が活性化され、増殖を繰り返し、新たな筋線維が作られます。
注2:膝伸展力は、太もも前面の筋肉である大腿四頭筋の力を表しています。膝屈曲力は、太もも後面の筋肉であるハムストリングスの力を表しています。
ウルソール酸摂取による抗メタボリックシンドローム効果
ウルソール酸は、AMPKと呼ばれる代謝を制御する分子を活性化することで、代謝を良くして肥満を改善する効果を持つことが期待されています。
メタボリックシンドロームに対するウルソール摂取の効果についての検証が行われ、2017年に論文発表されています*2。この研究では、メタボリックシンドロームと診断された30~60歳の男女24名を、ウルソール酸を12週間摂取するグループ(ウルソール酸として150mg/日摂取)と摂取しないグループに分けて、その効果を調べています。その結果、ウルソール酸を摂取した場合に、12週間で体重やBMI、女性のウエスト周りの値が有意に低下したことが分かりました。
*2:Ramírez-Rodríguez AM et al., J Med Food., 20, 882-886 (2017)
ウルソール酸による皮膚細胞のセラミド・コラーゲン含有量増大効果
皮膚のしわや乾燥は、角質層のセラミドと真皮のコラーゲンの含有量が減少することに起因します。
ウルソール酸は、皮膚の細胞に働きかけてセラミドやコラーゲンの含有量を増大させることが知られています*3。この研究では、正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)という細胞や、正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)という細胞にウルソール酸を添加し、それぞれの細胞中のセラミドやコラーゲンの量を測定しました。その結果、ウルソール酸を添加しない場合と比較して、ウルソール酸を添加した場合にセラミドやコラーゲンの含有量が有意に高いことが分かりました。
*3:Both, D. M. et al, Arch. Dermatol. Res., 293, 569-575 (2002)
包接体による苦丁茶抽出物中ウルソール酸の吸収性向上
近年、ウルソール酸を機能性食品素材として含む様々な製品が開発されていますが、ウルソール酸は非常に水に溶けにくく、摂取した後の吸収性の低さが課題となっています。
γオリゴ糖は水に溶けにくい成分の吸収性を向上させることが知られております*4。苦丁茶抽出物中のウルソール酸についても、γオリゴ糖を用いることで吸収性が向上することがラットでの試験から明らかにされています。下図のように苦丁茶抽出物を摂取させた場合と比較して、苦丁茶-γオリゴ糖を摂取させた場合でより高い血中ウルソール酸濃度が示されました。
*4:Yukiko Uekaji et al., Bio-Nanotechnology: A Revolution in Food, Biomedical and Health Sciences. U. K., Wiley & Sons, 179 (2013).
包接体による苦丁茶の苦味低減
苦丁茶は健康を増進する飲料として注目を集めていますが、特有の強烈な苦味をもつため、苦丁茶をそのまま飲用することは困難です。
γオリゴ糖は苦味成分を包接(内側に取り込むこと)し、苦味を改善することが知られています。そこで、苦丁茶の苦味に対するγオリゴ糖の効果を14名のパネリストに対する味覚試験により評価したところ、苦丁茶抽出物では強い苦味を呈したのに対して、苦丁茶-γオリゴ糖では弱い苦味はあるものの気にならないという結果になりました。