HMB
HMBカルシウム
3-ヒドロキシ-3-メチルブチレート
3-ヒドロキシイソ吉草酸
HMBは、3-ヒドロキシイソ吉草酸(3-ヒドロキシ-3-メチルブチレート、3-Hydroxy 3-MethylButyrate)の略称で、分岐鎖アミノ酸のロイシンから変換された物質です。
HMBカルシウムは、粉末状のHMBです。
- 筋肉や筋力を維持する効果(機能性表示 3~6g/日*1)
- 腹部脂肪の低減効果(機能性表示 3g/日*2)[BMIが高めの中高年の方]
*1:Gallagher et al., Med. Sci. Sports. Exerc., 32(12), 2109-15 (2015)
*2:Stout et al., Exp. Gerontol., 64, 33-4 (2015)
原料の詳細情報
筋肉はmTORと呼ばれるシグナル伝達経路を介して合成されます。筋肉を使った時に発生する乳酸が筋肉に蓄積されると疲労を感じるようになります。すると、mTORが破損した筋肉を修復しようと反応し、筋タンパク質の合成が促進されます。HMBはこのmTORに働きかけることで、筋肉合成を促進することが知られています。
一方、私たちの体には、ユビキチン・プロテアソームシステムと呼ばれる古くなり不要になったタンパク質を分解・排出させる回路があります。このシステムにより、トレーニングで発達した筋肉の必要性が低いと判断されると、この回路で分解され、筋肉量は減少します。HMBはこのシステムをブロックして筋肉減少を抑える働きをします。
HMBの効果についての研究情報
運動による筋肉量・筋力向上に対するHMBの効果
HMBは筋肉の合成促進と筋肉の分解抑制により、筋力を向上させる働きを持ちます。
筋力トレーニングと組み合わせたHMB摂取による筋肉量や筋力への影響についての検証結果が報告されています*3。この研究では、健康な男女75名についてHMBを4週間摂取するグループと摂取しないグループに分けました(3g/日、3回に分けて食事と一緒に摂取)。いずれのグループも試験期間中に筋力トレーニングを行い、試験前後の筋肉量や筋力を比較しました。その結果、HMBを摂取しないグループと比較して、HMBを摂取したグループでは、筋肉量の指標となる除脂肪体重という数値の増加量が高く、筋力の増加量も有意に高いことが分かりました。
*3:Lynn B. et al, Nutrition, 16, 9, (2000)
HMB摂取による筋疲労・筋肉痛の低減効果
激しい運動や突発的な負荷により、筋肉は過度に分解して炎症を起こします。筋肉の炎症による代表的な症状が筋疲労や筋肉痛です。
HMBは筋肉の分解を抑制する働きを持つことから、HMBを摂取することで運動後の筋疲労や筋肉痛を低減できることが知られています*4。この研究では、HMBを摂取するグループ(HMBカルシウムとして3g/日摂取)と摂取しないグループについて、突発的な運動負荷をかけてから数日間の筋力や筋肉痛について調べています。その結果、HMBを摂取しない場合には筋力が有意に低下し、筋肉痛レベルが有意に増加したのに対して、HMBを摂取した場合には、筋力や筋肉痛レベルに有意な変動は見られませんでした。このことから、HMB摂取による筋疲労や筋肉痛の低減効果が示されました。
*4:杉田直樹, FOOD STYLE21, 21, 2 (2017)
HMBの摂取タイミングによる効果の違い
HMBには、運動機能に関する様々な効果が期待できますが、HMBを運動前に摂取するか運動後に摂取するかによって、その効果に違いがあることが分かっています*5。この研究では、健康な22歳前後の男性16名について、3gのHMBを運動前に摂取するグループと運動後に摂取するグループに分けて、運動後の血液を調べました。筋肉の損傷に伴って、血中の乳酸脱水素酵素(LDH)という物質の量が増えることが知られています。そのLDH量について調べた結果、以前に同じ被験者に対して行っていたHMBを摂取しない場合や、運動後にHMBを摂取した場合では、時間経過に伴って血中のLDH量が有意に上昇しました。一方で、運動前にHMBを摂取した場合には、血中のLDH量の有意な変化は認められなかったことから、筋肉の損傷具合が比較的低いことが分かりました。以上のことから、HMBは運動前に摂取することが推奨されます。
*5:Wilson J. M. et al, Nutr. Metab., 6, 6 (2009)